ふるさと納税 ポイント付与禁止で告示改正 返礼品を強調する宣伝もNG
2024/07/08
2008年にスタートした「ふるさと納税」。今では国民の間に広く浸透しており、寄付額は1兆円規模まで成長した。その一方で、自治体間の競争が過熱したことを受け、返礼品の返礼割合や経費の割合などが見直されてきたが、総務省は6月28日、ふるさと納税の利用者に対してポイント等を付与する仲介サイトを通じた募集を禁止するなど、指定基準となる告示を改正した。
今回の改正では、ふるさと納税の「募集適正基準」と「地場産品基準」が見直された。
まず、総務省が「募集適正基準」で指摘したのは、ふるさと納税の仲介サイトの利用者に対し、サイトの運営事業者によるポイント付与の競争が過熱している点だ。自治体が負担する手数料がポイントの原資となっているとの指摘もあり、改正告示では、ポイント等を付与する仲介サイトを通じた寄付募集を、令和7年10月から禁止することとした。
松本総務相は7月2日の閣議後の会見で、「ポイントの原資がどこから出してくるかは、各企業の会計上のことまではコメントできないが、ふるさと納税の本旨を重視するという意味からも、ポイントというお金の流れはやめていただきたい」などと説明。
なお、ポイント付与の仲介サイトを運営する楽天グループは、ポイントの原資は自社で負担していると説明。総務省の改正告示について、「地方自治体と民間の協力、連携体制を否定する」、「地方の活性化という政府の方針にも大きく矛盾」しているとして撤回を求め、インターネット上で反対の署名活動を開始。7月8日時点で署名総数は100万件を超えた。
そのほかの改正として、返礼品などを強調して寄付者を誘引する宣伝広告が今年10月から禁止される。 該当する宣伝広告としては、例えば、新聞やテレビ、インターネットなどの各種広告媒体やメールマガジンなどに返礼品等を強調して掲載している場合や、返礼品等の情報が大部分を占めるパンフレットを作成し、不特定多数の者に配布する場合などが当てはまる。
これは、自治体が行う広告宣伝のほか、仲介サイト運営事業者や返礼品取扱事業者などが独自に宣伝広告を行う場合も該当するため、総務省では各自治体に対し、「返礼品等が当該事業者等による宣伝広告において強調されていないか確認するとともに、当該事業者等との契約等においてそのような宣伝広告を行わない旨の規定を盛り込むなど、必要な措置を講ずること」を指示している。
参考までに、ふるさと納税の「募集の適正な実施に係る基準」として、これまで通り、寄付者による適切な寄付先の選択を阻害するような表現を用いた情報提供はNGとなる。具体的には、「お得」、「コスパ(コストパフォーマンス)最強」、「ドカ盛り」、「圧倒的なボリューム」、「おまけ付き」、「セール」、「買う」、「購入」、「還元」などが考えられるほか、キャンペーンのような形態で、通常と比較して「必要寄附金額の引下げ」や「個数の増量」などを併記することも禁止の表現に該当する。
一方、「地場産品基準」の見直しでは、区域内では製品の企画立案などが行われるだけで、実際の製造地は区域外という事例を指摘。これに対応するため、製品の製造者から、製品の価値の半数が区域内で生じている旨の証明がなされた場合に限り、返礼品に該当することとした。
そのほか、全国展開している宿泊施設や飲食店の利用券などを返礼品としている自治体を見ると、返礼品との関連性が希薄という事例がある。そこで、宿泊は同じ都道府県内の宿泊施設に限定する。ただし、1人1泊5万円以下の宿泊や、甚大な災害の被災地での宿泊(発災の次の指定期間)は対象外となる。